健康には深呼吸が一番!

生き物の語源は息もの? 

生きるということは呼吸することと同義なのです。インドの古語サンスクリット語では、生きるという言葉は呼吸を意味します。また、英語で動物のことをアニマルと言いますが、語源であるラテン語はアニマで、呼吸という意味です。
 考えてみますと、食べ物を摂ることは大切ですが、一週間ぐらい食べなくてもなんとか生きられます。水を絶つと三日くらいは生きられます。ところが呼吸だけは5分も止めたら死んでしまいます。
 我々は食べ物には感謝をささげます。いただきます、という言葉が象徴的です。生きている生命をいただきます、という意味なのです。ところがもっと重要である水に対して感謝をしたり、さらにもっと重要であるはずの空気に、酸素に感謝したりしているでしょうか?当たり前すぎて感謝をしていないように思います。

 現代人は酸素不足

 酸素が重要なことは皆様も百も承知されていると思います。異論はありませんね。それでは酸素量は果たして足りているのでしょうか?
 三十歳の時の肺活量を一〇〇とすると、八十歳では半分の50しかないと言われております。つまり肺活量はどんどん低下してしまうのです。軽い酸欠状態にあるといえるのです。
 医学博士の塩谷信男先生の説によると、あらゆる病気は酸素不足が引き起こすとされます。つまり血液中の酸素が不足することにより代謝が落ち、免疫力も低下し、細胞の自己再生能力も低減すると言うのです。
 医学的な根拠としてはまだまだ研究の途上にあるとされますが、酸素不足が万病の元というお話は説得力があります。後述する深呼吸によって病気を治した方が現に大勢いるのです。そこで私は呼吸法というものを大事に考えたいと思うのです。
 現代人の元気が無いのは酸素不足が原因?
 日本人の去年の自殺者は三万五百十三人もいます。原因は不景気や社会の先行きの不安など、様々言われておりますが、それでは終戦直後の日本と比べたら、現代日本に何の不安があるのか、と言ったら叱られそうです。人々に活力が失われているようにしか思えません。活力のものとは栄養です。酸素と水と食事です。特に酸素をしっかり取ろうという人は稀です。深呼吸をして心を正し、心も体も健康になりたいものです。

 お釈迦さまも呼吸の大切さを語っていた

 呼吸の方法を述べたお経も実は多いのです。大安般守意経には腹式呼吸の仕方が出てきます。古今東西あらゆる宗教・武術などで腹式呼吸の大切さは述べられています。野生の哺乳類は腹式呼吸なのです。ところが人間は直立した時から何故か胸式呼吸になってしまい、意識しなければ腹式呼吸ができなくなってしまったのです。その証拠に、人間でも生まれたばかりの赤ん坊は腹式呼吸をしています。成長に従って胸式呼吸に移行してしまうのです。

 正心調息法の勧め

 仏教で述べる呼吸法はとても難しいものです。日常生活で活用することは難しい。そこで医学博士の塩谷信男先生の提唱する正心調息法をご紹介します。とても簡略で誰でも、どこでもできるのが特徴です。
① 背筋をまっすぐにして座ります。椅子でも正座でも、あぐらでも結構です。あぐらの場合は座布団を使って安定するようにします。また寝ていても結構です。

② 鈴の印を結びます。おへその下3㎝位・胴体の中心を丹田と呼びますが、丹田の前にボールを包むようにして利き手を上にして結びます。両手の甲は垂直にして、親指をのぞいた四本の指はそろえます。寝ている場合は印を組まずに手のひらを下に向けておきます。

③ まず吸息。息を吸います。鼻から静かに吸います。この時、お腹を膨らまします。

④ 充息。息を止めます。丹田に酸素を送り込むという気持ちで下腹にかるく力を入れます。この時お尻の筋肉をキュッと引き締めます。できれば十秒程止めますが、苦しくない程度の所でやめます。この時、横隔膜を下に広げる様をイメージします。横隔膜が下がると腸を刺激し、腸の周辺にあるたっぷりと栄養を湛えた血液が全身に回ってきます。
⑤ 吐息。息を吐きます。鼻からゆっくりと吐きます。下腹の力を少しずつ抜いて、へこませます。できれば吸息の二倍の時間をかけます。このとき体の悪いものが出ていくというイメージを持ちます。

⑥ 小息。一つか二つ普通の呼吸をします。

③~⑥までを1サイクルとして一日二五回行います。一度でできない場合は数回に分けても結構です
⑦ 靜息。呼吸法の仕上げです。最後に終わるときに行います。下腹に軽く力を入れたまま静かにゆっくりと息をします。

この呼吸法は電車の中でも、就寝前布団の中でも、どこでもいつでもできます。ところが簡単であってもその効果は大変なものです。元気に生きる元になりますので、是非とも皆様実践していただきたいと思います。 

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