天台宗のご葬儀の特徴

質問箱からのご質問なのですが、天台宗の葬儀の特徴を教えて下さいとのことでした。

天台宗は総合仏教だからなんでもやるっていうことですね。念仏、密教、法華経、御詠歌、すべて総動員して行います。

同じ天台宗でも地方によってかなり違うと思いますが、ご説明しましょう。

まず訃報に接したら戒名をつけて本堂で光明供(こうみょうく)を行います。
光明供とは、光明真言の供養法です。最も功徳があると言われています。
正念誦で光明真言を千遍、他にも各尊のご真言を百遍づつ唱えるから1時間半くらいかかります。だからあらかじめ葬儀の前に修行しておくのです。この功徳を葬儀にご回向します。密教だから晨朝とかに人知れず行います。
光明真言の功徳は最勝最大と言われています。ですから式中にも必ずお唱えしますが、「千遍唱えるべし」と儀軌類に指示があります。式中ではとても唱えられません(大体45分~1時間かかります)。しかし、千遍唱えるとそれが1つの修行であり深い三昧に入ることが出来ます。ですからこれは僧侶にとっても修行です。
忙しい住職様は、毎朝、毎夕決まった数の光明真言を普段からお唱えしてご葬儀に際してその功徳をご回向する方もいらっしゃいます。都合千遍唱えるよう普段から唱えているのです。

現在は希望される方も減りまし たが、可能な限り「枕経」もあげます。
24時間以内はまだ魂が身体に留まっているとも云われていて、それに間に合うよう駆けつけご遺体の前でお経をあげます。
この時魂が身体から出る位置によって往生が変わると言われており、腰から出ると地獄、腹から出ると餓鬼、胸から出ると畜生、喉から出ると修羅、額から出ると人間、頭頂から出ると天界です。それで頭頂以外の出口を塞ぐ密教の作法、「禁五路法」を行います。
これは枕経を行わない場合はお通夜などで行います。

お通夜は念仏回向式を行います。古くから伝わる念仏の回向法要です。念仏を五つに分けて説明した「五念門」という教えを唱えます。これで正式な念仏の作法を故人と共に修行して極楽浄土に旅立てるようにするのです。
この時、同時に剃度式(ていどしき)も行います。これは出家の作法です。お釈迦さまからの直系の弟子になってもらうのです。

葬儀は「例時作法」という『阿彌陀経』を中心とした法要をしますが、それとは別に葬儀独特の作法をします。
この時、導師は立ち上がりますのでわかりやすいと思います。
なぜ立ち上がるかと言うと、「庭前作法」と言ってお庭、野外で行っていた名残りです。
江戸時初期の葬儀での読経は分業で、この野外で行っていた作法は、山伏・修験者が差配して供養していたのです。
それが今で言う「引導を渡す」と言われる作法で、火葬にして着火をする儀礼である「下炬(あこ)作法」などを修験者がしたのです。

ところが、修験者は葬儀などの回向をしてはいけないという「葬祭・祈祷分離の定」を幕府が定めました。それから修験者は葬儀に関われなくなったのです。

それから天台宗のお坊さんも光明供だけでなく土葬や火葬の儀礼、つまり引導、下炬、歎徳(たんどく・故人の徳を讃える)などの作法を行うようになったと言われています。

他にも「別回向(べつえこう)」といって法要に付随してお経や御詠歌を加えたりします。この時、法華経などもあげます。

天台宗 横浜 鶴見 宝泉寺(公式)

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