お彼岸三日目です
寶泉寺の樒に白い花が咲き始めました。
この樒は私(現住職)が比叡山において加行を満業したおり、その記念として樒の葉を地に刺して大きく成長したものです。今では私の背を超えました。
樒(しきみ・しきび)は、今では比叡山にも自生しておりますが、鑑真和上が唐より将来したと云われる香木です。葉を折ると鮮烈で爽やかな香りがします。
葉の形状が5、6葉がまとまっていて蓮華の花のようになっているため、古来より佛花の代用として用いられてきました。
現在と違い、一年を通してなかなかお花を手に入れるのも難しい時代、重宝されたのでしょう。
比叡山でも本尊さまに供える佛器には花としてお供えしてあります。葉は回峰行の時の散華として用いられています。
また、葉や実には毒を含んでおり鳥獣が嫌うことから「魔除」の意味もあり、弔いの際にご遺体近くに必ず樒をお供えします。その時、花瓶には水を入れません。
これはこの樒が故人の為だけに用意されたという意味と、あの世とこの世と逆にする習俗からきたのでしょう。
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