入りぼた餅、明け団子、中の中日小豆飯

お彼岸は、春分の日と秋分の日をそれぞれ中日として前後各3日を合わせた7日間をいいます。

彼岸とは簡単にいえば「向こう岸」のことですが、仏教用語としては我々の生きる世界「此岸(しがん:このきし)」に対し、亡くなった人たちが住む世界である彼岸(ひがん:かの岸=極楽浄土)を意味します。

此岸に対して彼岸は西の方にあると考えられており、太陽が真東から昇り真西へと沈む春分・秋分の期間は、両者が最も近づく時期とされていました。

それがやがて、生者が悲しみや苦しみのない極楽浄土を願う気持ちと重なり、お彼岸の風習につながったとされています。

そのため、お盆がご先祖さまをこの世にお迎えする行事であるのに対し、お彼岸では亡くなった人を供養して感謝を捧げることで自らが極楽へと渡るための善行を積む期間だと云われています。

春や秋の彼岸にはお墓参りに行き、ボタモチやオハギを食べる習慣は今でもありますが、昔は「入りぼた餅 明け団子 中(なか)の中日(ちゅうにち)小豆飯(あずきめし)」といって、どこの家庭でも彼岸の入りの日にボタモチ、彼岸の中日には小豆飯(赤飯)を作り、明けの日には団子を作って仏に供えました。


お彼岸の初日・入りの日にぼた餅(おはぎ)をお供えします。

ぼた餅とおはぎは同じものですが、
春の彼岸は牡丹の時期なので「牡丹(ぼた)餅」、秋の彼岸は萩の季節なので「お萩(はぎ)」と呼ぶようになったようです。

明け団子はお彼岸の明けの日、つまり最終日には串のついたお団子を供えます。これは物事を貫き通す、結びつけるという意味があったようです。

小豆飯は、お赤飯と同じと思われがちですが、その作り方や材料に違いがあります。お赤飯が小豆ともち米を蒸して作った、おこわなのに対し、小豆飯はあらかじめ煮ておいた小豆とその煮汁を、普通のお米(もち米を加えることも)と一緒に炊いた炊き込みご飯のような位置付けです。

これはもともと神様に供えた古代米が起源と云われています。古代米は赤米とも呼ばれ、表層部が(糖層)が赤褐色の米品種です。精米すると白米になります。 

赤米は、赤飯のルーツとも言われ、昔から神事やお祭りなどでも用いられていたようです。

日本人は稲作の伝来以降、春に田を耕し、秋に収穫を得る生活を社会の基盤とし、米には稲魂が宿ると考え、米と深い関わりを持って生活をしてきました。ご先祖さまに供えるものとしては最上の供物と言えるでしょう。


寶泉寺では7月のお施餓鬼におはぎの接待をしております。毎年鶴見の「こめ蔵」さんに注文しているのですが、先日、人気テレビ番組「マツコの知らない世界」にて絶品のおはぎの店として紹介されたので、鶴見のお店が取り上げられて嬉しい半面、経営者がご高齢なので人気と相俟って今年は配達してくれるか、少し心配になっています。有名になるのも考えものですね。

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