どうして 7月と8月にお盆があるの?
よく聞かれることなのですが、何故 七月と八 月にお盆があるのですか、という 疑問があります。地域によって七月と八 月にお盆を行います。
これはお盆についての理解をしなくては分からないのです。
お盆という行事が日本国中津々浦々で どの宗派でも行われています(浄土真宗は別)。
お盆の信仰は大変古い信仰です。祖霊・先祖が帰ってくるという信仰です。
昔は旧暦ですから月の満ち欠けで季節や時期を判断しました。 毎月一日は新月で、夜は真っ暗です。十五 日は満月で明るい。これは分かりやすいですね。自然とともに生きていますから 身近であったはずなんです。それで月の満ち欠けが生命の躍動であり、月が生まれまた死んで生まれ変わる、そういう信仰と結びつくのです。
すると、 太陰暦ですと七月一 日が新月で、この日にいわゆる地獄の釜の蓋が 開くと考えました。地獄は仏教から来た言葉ですが、要するに黄泉の世界、あの世とこの世がつながる日です。 闇夜は死の世界とつながるのです。 この日から亡くなった方々があの世を出発するんですね。それで 十三日に はこちらに到着する。それで迎え火を焚いて先祖を迎え入れるのです。迎え火も送り火も夕方に焚きます。これは あの世では朝にあたる時間です。これから活動する時間なんですね。それで夕方なのです。
十五日が満月の日です。太陰暦ですと必ず十五日が満月ですね。 それで十五日に送り火を焚いて送ってあげる。すると七 月の末にはあの世に帰るわけです。長旅ですからお弁当である米を供えたり、新盆ですと履物や笠をお寺に奉納したりします。旅装です。
このように太陰暦・月の満ち欠けで行事を考えてみると説明がつくのです。
太陰暦は旧暦と呼ばれますが、旧暦というとなんだか古くて不合理な印象があります。 一定の法則で閏月がありますから、一年が十三か月になる年もあります。すると古臭い・不合理な暦だな、と考えがちですが、 そうではないんですね。日本の風土を網羅しているんです。
釣りをする方ならご存知と思いますが、月の満ち欠けが魚の生態には影響していますから旧暦で確認すればよく釣れる日と釣れにくい日が判るといいますね。 また、閏月ですが、夏期に閏月が くる年は暦の上で夏の月 が連続してあるのです。
変に思うかもしれませんが、そういう年は不思議と残暑がきびしくて夏が長いのです。冬期に閏月がくる年は冬が長いのです。 ですから日本の気候をちゃんと予想できるのです。まことに実用的な暦なのです。
何故七月と八月にお盆があるのですか、という疑問 ですが、これは明治時代に暦を替えたことによるのです。
明治時代、世界の列強と互角になろうと日本は努力を重ねるのですが、世界の暦は太陽歴で す。世界標準にあわせないと具合が悪いということがあります。
また、閏月のある暦ですと月給を多く払わないといけない。太陽暦だと 12か月固定ですから、会社経営者も大賛成。 太陰暦は占いと直結していたから、暦 の占いを禁止して旧暦にとどめを刺したのです。すると日本はスムーズに太陽暦に移行してしまったのです。
暦の上で七月十三日 ~十五日がお盆の期間ですが、太陽暦になってもそのまま七 月十三日 ~十五日 に移行したんですね。当時開発が進んで農家を止めた 地域はこれでも良かったんです。それで駅周辺とか都心部などが七月にお盆をします。
ところが、実際は一か月ほど早くお盆を迎えることになりますから農家は困るんですね。農繁期ですし、お盆を目指して育ててきたかぼちゃ などの作物がまだ実っていない。これでは困るのです。そこで一か月遅らせて八 月にするようになった、というのが真相です。
これがお蚕の農家、養蚕農家の場合は八月も農繁期ですから、九 月にお盆をするようです。こうして地域によってばらばらにお盆を迎えるようになったのです。
七夕祭りも同様で、今では八 月だったりしますが、もともとは七月七 日でしょう。七日というのは太陰暦であると一 日の新月から満月の十五 日の丁度中間なんですね。あれも祖霊祭なのです。 遠い黄泉の世界から祖霊が帰ってくるのに七日は中間点ですから力づけてあげる、また笹竹は憑代ですから、 目標なんですね。ここを目標に来てくださいという印なのです。
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