寶泉寺の一字金輪仏頂尊のいわれ


一字金輪仏頂尊は大日如来と似ているとよく指摘されます。宝冠を被り智拳印を結んでいて、金剛界の大日如来とほとんど見分けがつきにくいぐらいです。

この一字金輪仏頂尊を教主とする仏頂尊系の密教がもっとも古い密教とされ、天台では蘇悉地法と呼んでいます。ですから一字金輪仏頂が大日如来に似ているのではなく、大日如来が一字金輪仏頂に似せて想念されたのではないかと思うのです。

これは、インドで密教の主流は‪蘇悉地‬から胎蔵界法・金剛界法と大日如来が主尊として発展してきたため、仏頂尊より大日如来を重んじる流れとなったからでしょう。

日本においては天台宗が‪蘇悉地法を胎蔵界法・金剛界法に匹敵する大法と捉え、むしろ一字金輪仏頂尊が胎蔵界法・金剛界法を統合する最勝・最尊であるという信仰も生まれました。

ところが、一字金輪仏頂尊の経典をよく読むと最勝・最尊である故に四百里四方の他の仏の力を奪ってしまうという恐ろしいまでの呪力があることが書かれています。そこで皇族の方の願い、天下太平・万民の幸福を願うのであれば他の仏の願いを邪魔することはないであろうということで陛下の衣を加持する御修法の主尊としてお祀りすることになり、一字金輪仏頂尊像の作例は全国的にも極端に少ないものとなっております。

当寶泉寺では戦災で諸堂が消失し多くの仏像が失われましたので、この天台密教を代表する珍しい仏様・一字金輪仏頂尊のご尊像を造立し脇仏としてお祀りすることになったのです。

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